米国が衰退し、中国が台頭していると言われているが、実は中国はいまだ米国のコントロール下にあるのではないだろうか。

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GMが破綻したその日、米国財務長官のガイトナーは中国にいた。
9日に行われる30年債入札を見越して、中国に「国債購入詣で」をしたというのがもっぱらの見解だ。

【参考】ガイトナー長官、米国債購入継続を期待 中国副首相と会談(日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090601AT2M0104K01062009.html

訪中している米国のガイトナー財務長官は1日、北京の人民大会堂で中国の王岐山副首相と会談した。王副首相が米国債の価格下落への懸念を示したのに対し、ガイトナー長官は財政赤字の削減に取り組む方針を説明。中国が米国債の購入を続けることに期待をにじませた。オバマ米政権は景気対策で大量の国債発行を見込んでおり、中国の資金に頼る構図が一段と鮮明になっている。



世論は明らかに、「中国が米国を助けてあげている」「中国に頼らなくては米国はやっていけない」という論調になっている。そしてまたもや「今世紀は中国の時代」と騒がれ始め、実際に中国株のパフォーマンスは極めて良好な数字を示している。


が、果たして本当にそうなのだろうか。


実は「そうではない」というのが私の意見なのですが、そのことを以前考察した記事があるので、少々長くなりますが、ご紹介させて頂きましょう。


結論だけを簡単に言うと、「資本主義のゲームに完全に取り込まれた中国は、いまだ米国のコントロール下にあるのではないか」ということです。

【参考】外貨準備急増が示していた巧妙な「仕掛け」

http://keyboo.at.webry.info/200805/article_6.html
 



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************************(引用開始)*********************************************


<外貨準備急増の原因>



中国にお金が流入してきたら、
普通「人民元を買う」ことになりますから、
元は高くなるはずなのですが、





名目レートを維持するために、
外貨を買って人民元の増価を抑制する。
それが外貨準備の増加となって表れる






というわけなのです。


ということは、


「外貨準備の増加」=「中国への資金流入の増加」


を意味するということになる。



--------------------------------------------



カネが入ってくるのは確かに悪いことではないのですが、
それには、
そのカネを消化できるだけの需要が必要なのです。





ところが、いくら潜在力の高い中国とは言え、
これだけ急激な資本流入に耐えられるだけの力は
まだ持っていなかった。





それを証拠に急激に入ってくるカネを消化しきれず、
過剰生産力を積み増すこととなったのだ。
つまり、入ってくるカネに内需が追いつかなかったのだ。



【参考】中国:過剰流動性によるマクロ経済上の諸問題(国際協力銀行)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2006/1030/765.html

    現在の中国経済の特徴の一つとして、国際収支黒字に基づく大量の外貨流入と、固定的な名目為替レートを維持するための為替介入により、国内経済において過剰流動性が発生していることが挙げられる。過剰流動性は投資の過熱を引き起こし、生産過剰によるデフレや不動産価格の高騰といったマクロ経済上の諸問題につながっている。




そもそも内需が十分にある国であれば
為替を操作する必要などない。






為替を操作していること自体、
典型的な「外需依存型」の経済、
則ち「内需が発達していない」ことを
示していることに他ならない。



投資家は中国の未来を先取りしすぎたのだ。
40年以上も先の未来を、たった数年で取ろうとしたのだ。
これは無茶にもほどがある。





さらに、規制をかいくぐった投機資金がこれに上乗せされた。
これはもう「バブルを起こしてくれ」と
言わんばかりの状況ではないか。



【参考】世界一となった外貨準備、その意味と問題点(富士通総研)
http://jp.fujitsu.com/group/fri/downloads/report/economic-review/200610/05-4.pdf

    投機筋は資本移動規制を回避するために、中国業者の輸出を水増しして輸出代金のかたちで投機の外資資金を中国に送金している。したがって、1000億ドルの貿易黒字のうち、最低20~30%は投機資金の水増し分とみたほうがよかろう。


    ~(中略)~


    ここ3年来国内における過剰投資により生産能力は国内需要を大きく上回っているが、2004年来の景気引き締めにより、国内の過剰生産能力を輸出に振り向けざるを得なくなった。


    ~(中略)~


    問題はそれほど簡単なことではない。外貨準備の増加は、貿易黒字と外国直接投資の流入に加え、投機的な「熱銭」(ホットマネー)の流れ込みがある。8月国家統計局は初めてホットマネーの流入を認めた。それによると、今年2~5月のホットマネーの流入額は200億ドルを超えているといわれている。




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【参考】更なる苦悩をもたらした「人民元」の切上げ
http://keyboo.at.webry.info/200805/article_7.html





<「人質」に取られたのはどっちだ?>



あまりにも介入に必要な外貨が巨額だったため、
取引規模が世界一でかい「米ドル」を購入せざるを得なかった。
その結果、
中国は何と世界第二位の米国債保有国となったのだ。



これをもって「米国は中国に人質に取られている」
と見る向きが出てきた。
しかし、その見方は果たして正しいのだろうか。



【参考】ヒラリー議員「米国は人質に」米国債保有で日中批判(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0306&f=business_0306_008.shtml





元レートが対ドルで上昇したら一体どうなるのか。
それは「中国から見た対外資産の価値の減少」に他ならない。



それはつまり、


「積もりに積もった外貨準備が大幅に目減り」


することに他ならない。





これは「米国にとって」ではない、
「中国にとって」痛い話なのだ。
そして、その額があまりに巨額であるために、
おいそれと他の通貨に移すこともできない。




【参考】外貨準備1兆ドル:米ドル資産比率の引き下げが急務(グローバル投資のポイント)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=1130&f=column_1130_006.shtml



    国家外為管理局の高官は、「米ドル以外の資産の市場規模は非常に限られているため、大半を米金融市場に投じなければならない」と述べ、中国の外貨準備を米ドル資産以外に分散することは難しいとの見解を示しています。





小さな池にはまってしまった巨大な鯨が
そこから抜け出ることも出来ずに体力だけが吸い取られていく。
これは「兵糧攻め」そのものではないか。





さらに、米国債は口座振替による電子取引のため、
実はその券面はFEDで一元保管されている。
券面は投資家の手元にはないのだ。



つまり、中国政府が帳簿上保有している
米国債の券面は「中国」ではなく「米国」にあるのだ。





だから、仮に中国が米国債を大量売却しようとしても
リーガル面さえ整備すれば
技術的には差し押さえることが可能となる。





ここまで見るともうこれは明白だろう。
人質に取られているのは「米国」ではない。
「中国」の方なのだ。






怒った中国は「米国債を売るぞ」と脅してみたが、
それが何の効果もないことは中国自身が一番良くわかっていた。
自分の売りが売りを呼び、
結果的に自分を苦しめることになるからだ。





************************(引用終わり)*********************************************



中国にとって大事なのは「メンツ」であり、その「メンツ」に対する過度のこだわりが時として弱点になるときがある。米国はそのあたりを熟知している。


おだてて乗せて、表向き顔を立てる一方、実利はしっかり頂いていく。中国はいまだ内需が発達していない。引用記事でもご紹介したように、内需が発達していれば為替操作など必要ない。


為替操作をしていること自体、中国経済が固定資産投資と外需に依存した経済であるという何よりの証拠だ。史上空前の経済対策を行ったが、その金の行き先がヨコではなくてタテ(箱物・高層ビル等)に向かっていることからもわかる。


そして、一人っ子政策の影響から今後急速に高齢化を迎える。成長は今後間違いなく鈍化していく。2050年の世界一の経済大国になっているというGSの予想は、予想ではなく「メンツ」立てに過ぎないと思う。


「名を捨て実を取る」とはまさにこのことだか。ガイトナーの「中国詣で」はまさにこの「メンツ」を立てに行ったということではないだろうか。多分今般の中国ラッシュも引き上げたら早いと思うな~。





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