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サブプライム問題に起因して、欧米式経営手法は駄目という烙印が押されることがよくありますが、それが日本的経営手法が100%正しいということを意味するわけではないという前提はありますが(二元論的思考は危険であるという意味で)、ここに改めて日本企業の良さを再認識させてくれる資料を見つけましたので、ご紹介させて頂きます。
ポイントは「階級意識が薄いことから来る労使一体となった地に足のついた経営を行っている」ということでしょうか。技術力(理系)と現場を重視するという「良さ」はどんな外圧があっても残していくべきものなのでしょう。
私は文系の金融という、ややもすれば対極的な立場におり、技術力も何もありませんが、そんな私に出来ることは、即効性はないけど、長い目で見たら大きな財産になるこうした日本企業の特徴を発信し、投資家としては評価することが、月並みではありますけど大切なんだろうと思います。
【参考】企業白書(経済同友会)
http://www.doyukai.or.jp/whitepaper/articles/no16.html
以下、勉強になった点を抜き出して見ました。
(これは経済同友会の資料なので、「マネジメント」の立場からの見方になりますので、現場から見ると、また違った見方(反論含めて)があると思いますが。)
● アイスランドも、日本も、米国も、各々の文化・習慣があり、グローバル競争で勝ち抜くためには、自分たちの文化・習慣に立脚したビジネスモデルで戦わなければ、どこかの国の亜流ビジネススタイル(即ち二流)になるだけだ。身の丈を超えたやり方はいずれ失敗するし、身につかない。
● 日本では理系の大卒や大学院卒の人が作業着を身にまとい、現場で皆と一緒に働くのを厭わないし、製造技術者の地位も決して低くない。周囲がそのポジションを尊重しているので、学生も誇りを持ってその職に就ける。ところが、中国では有名大学の卒業生が現場で働くことを求められると、多くの人が辞めてしまう。
● 米国でも傾向は同じで、1960年代までは製造業の現場にも優れた人材が数多くいたが、金融業が経済の中心を占めるようになるにつれ、製造業を軽視する風潮が強まり現場で働く人々が尊重されなくなった。そういう意味で製造や生産技術部門の日本人は期待されているし役立っている。
⇒ 私は10年前に就職しましたが、私の頃は氷河期であることに加え、ちょうどITバブルの頃だったので金融工学が「ファッション」となっていた時期でした。そんな時期にカネを目的に優秀な理系の技術者の卵たちが、「金融工学」を手にこぞって金融の門を叩いていた記憶があります。今から考えても、もったいない選択だなあと思うことがあります(文系には理系の選択(技術者にはなれない)は取れないがという意味で)。余計なお世話ですが。。。
● ホンダでは、タイトルや立場にとらわれず、自由にディスカッションを行う「ワイガヤ」が行われているが、吉野浩行氏(ホンダ相談役)はマネジメント層と現場の人たちの垣根が低いことが人を動機付ける重要な点であると述べている。
⇒ この点が階級意識の強い欧米企業との決定的な差ですね。
● 日本の農耕民族としてのDNAに由来する、収穫作業を協同で行うチームワークは強みの一つと言えるだろう。
⇒ 狩猟民族の欧米と農耕民族の日本。制度設計を考える上ではこの点を意識せずに安易に欧米流を輸入しようとすると失敗する可能性が高いということがわかる。
● 米国の場合は、新技術の開発者は個人のバリューにしたがる傾向があるが、日本の場合は周囲とも共有して、会社の技術として更に次の世代につないでいく。
⇒ 全般を通じていえる事ですが、日本的チームプレーが成立するためには、他人を信頼するということが大前提となってくる。そこには個人レベルの高いモラルが求められる。なのでこれが崩れた瞬間に日本的経営も成り立たなくなる。日本における技術者の評価はその成果が誰に帰属するのかという点で法廷論争にまで持ち込まれていますが(LEDの中村教授を筆頭に)、これは会社に対する技術者のある種の「不信」から来ている(=成果に対して「認知」が足りないという意味で)という見方も出来るような気がする。そういう意味で、日本企業も「今のままでよい」というわけでは決してない。
● 日本のように特徴のある中小企業群が重層的に活躍している国は少なく、このメリットを活かしてアジアにおける高度なコンポーネントの供給基地となる役割を担っていくことになるだろう。また異なった業種が相談して新しいものを作り上げていくことが日本のカルチャーの大事な部分である。
● 日本は「育てる文化」、米国は「選ぶ文化」
● 成功している日本企業は、保守的財務ポリシーを堅持している企業が多く、米国のコーポレートファイナンス流の適切なレバレッジを志向するのではなく、キャッシュフローの確保と自己資本の充実を優先課題とし、長期的な投資に耐えうる財務体質を築いている。
⇒ 経済が成熟し、収益機会が減っていくことが、効率性を重視したレバレッジ増大に拍車をかけることになる。レバレッジの増大は長期間は耐えられないので、成果がどうしても短期志向になる。そしてヘッジファンドを中心にそうした投資家が増えていることが、経営者の姿勢にも影響を及ぼしており、こうした風潮に嫌気をさして、経営の安定性が確保するために、MBOして非上場してしまうということが起こってしまっている。
● ホンダが本田技術研究所を別会社にしているのは、より研究開発活動にふさわしい組織にするというためであるが、その中には短期的利益に左右されず、長期的視点に立って研究開発を行うということも含まれている。
● 中・長期計画を策定する企業は日本企業、海外企業とも少なくないが、日本企業は従業員のコンセンサスを得ながら、中・長期計画に基づいた綿密な戦略の立案、フォローを行っている企業が相対的に多いと言える。
● MBA取得者には長期的テストが好きだという人は少ない。短期的に儲けたい、あるいはキャリアアップしたいと考えている人には日本企業は向かない。
● 長期的なコミットメントを持つ従業員のモラルを信頼して、「脅し」を最小限にして経営しているのが日本企業の多くである。ただし長期的信頼関係も、滞ると既得権益の固まりという大企業病になる。そうなると回復は大変で貴重な時間を無駄にしてしまう。
<日本企業が不得意とする戦略>
● 日本市場は明確な顧客セグメントをしにくい市場(=均質性が高い)なので、ブランドを活用して特定のセグメントに訴求するという訓練が十分に出来ていない。
● 優良な中小企業ではニッチ戦略を中心としているところはあるが、それをグローバル規模で展開(グローバルニッチ)しようとする企業は少ない。基本的発想として、多くのものを「大衆に」提供することに社会的意義を感じる傾向がある。
● 人員を削減したり事業閉鎖したりすることへの必要以上の抵抗感がある。ただ、日本のメーカーは特に萌芽期にある技術や事業をかなり自社で抱えざるを得ないし、それが長期的に見て成長に結びつくことは珍しいことではない。これは日本型モデルが負担すべきコストのひとつかもしれない。
● 特に日本市場はアフターセールスやサービスで稼ぐことを許さない傾向が強い。そのためバリューチェーンで稼ぐ具体的なアイデアが育ちにくいかもしれない。
● 厚い中間層は受身の性格から作られ、横並びの購買傾向が強く、地方が大都会の消費傾向を追いかけるように市場が形成されやすい。こうした市場だけを対象としていると、企業の基本戦略は「シェアの確保」に落ち着いてしまうことが多い。しかも各企業とも比較的均質なものを供給し、新たな需要を掘り起こすことに必要性をあなり感じなくなる。供給する側も均質性の高い日本人ばかりの発想で取り組むので、同じようなものしかできないが、高い品質と安い価格への追求は休み無く続く。それがシェア確保のための最も有力な手段となるからだ。
● 間接金融主体のわが国の中で、資本・資金の出し手が銀行であったり、親会社であったりして、長期的視点を獲得するのが比較的容易。しかもこれに規制当局による直接・間接の「保護」が組み合わされることがあればなおさら。
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